味覚障害とは

口の中に食べ物や飲み物を入れると、唾液と混ざり、食品成分中の分子やイオンを舌にある「味蕾(みらい)」という細胞が感知します。味蕾にある味細胞の膜から神経・脳に信号を送り、脳が味を認識します。それが味を感じるメカニズムです。
味覚は、塩味・甘味・酸味・苦味・うま味の5つの基本味のことを指します。また、味覚は嗅覚と密接に関係しています。例えば、紅茶やコーヒーの味は味覚ではなく、「風味」いわゆる嗅覚に分類されます。
その味を感じる味覚に何らかの原因で異常が生じている状態が味覚障害です。味の変化は食欲の低下につながり、体力・免疫力の低下など健康悪化につながる場合もあります。また、味がわからないため、塩分や糖分の取りすぎも注意しなければなりません。

味覚障害の症状

味覚障害の症状は、次のタイプがあります。

  • 味がわからなくなる「無味覚障害(味覚減退・消失)」
  • 5つの基本味のうち、1~2種類の味が識別できなくなる「解離性味覚障害」
  • 何も口に入れていないにもかかわらず、苦味、塩味、渋味が持続する「自発性異常味覚障害」
  • 甘いものを苦く感じる、酸っぱいものを甘く感じる「味覚錯誤」
  • 薄味のものを濃く感じる「味覚過敏」
  • 舌や口の片側だけ味覚が低下、消失する「片側のみ味覚減退・消失」

味覚障害の原因

味覚障害の原因は、亜鉛、鉄分、ビタミンなどの栄養不足が最も多いです。また加齢による味蕾の減少やストレスなども原因として多いです。また、風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻づまりを起こすことで風味を感じ取れず、一時的に味覚障害を引き起こす場合もあります。また記憶に新しいコロナウイルス感染による後遺症による味覚障害を起こすことがあります。

味覚障害の治療

風邪やアレルギー性鼻炎などの鼻疾患による鼻づまりの影響で味覚障害を引き起こしている場合は、その治療を通して味覚障害の改善を目指します。
また、食事改善の指導を行うこともあります。
採血で亜鉛不足が疑われる方には、亜鉛製剤を処方いたします。

味覚障害の予防、気を付けていただくこと

亜鉛不足が主な原因であり、亜鉛は体内で合成・蓄えができないため、食品からとることを心掛けてください。また、口腔環境が悪いことも味覚障害につながるため、水分をしっかり摂り、口腔内を清潔に保つようにしてください。
味がわからない、何を食べても同じ味がするといった味覚障害の症状を感じている方は、当院に一度ご相談ください。