耳管狭窄症とは

耳管は耳と鼻をつなぐ細い管状の通路のことを指し、耳の中の圧力を調整する働きを持っています。皆さんも経験があると思いますが、飛行機や高層エレベーターに乗った時に、耳が詰まった状態を解消するために唾を飲み込む、またはあくびをするといった時にだけ耳の圧力を調整するために耳管は開き、すぐ閉じます。耳管狭窄症とは、何らかの原因で耳管が狭くなり、塞がってしまう症状を指します。

耳管狭窄症の原因

耳管狭窄症は、主に鼻やのどの炎症（風邪や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、咽頭炎、扁桃炎など）によって、耳管開口部の周囲に炎症が併発することで発症します。また耳管の入り口の周囲にある軟骨に異常があることも発症の原因となります。

耳管狭窄症の症状

耳管狭窄症の症状は、耳が詰まった感じ（耳閉感）や自分の声が響いて聞こえる（自声強聴）があり、難聴症状が発生することがあります。また滲出性中耳炎と併発することがあります。

耳管狭窄症の診断

耳管狭窄症の診断は、まず副鼻腔炎や咽頭炎などにかかってないかを問診します。耳管狭窄症の検査は、ティンパノメトリーという耳の外側から鼓膜に圧力をかける検査を実施し、中耳の中の圧力と周囲の大気圧に差があるかを確認することで診断を行います。難聴症状が発生していることがあるため、聴力検査を実施する場合もあります。

耳管狭窄症の治療

耳管狭窄症の治療は、原因となっている鼻やのどの疾患の治療を行い、炎症を抑える内服薬の処方と耳管通気療法を行います。内服薬は、抗生剤や消炎剤、抗アレルギー剤や点鼻薬が主なお薬です。耳管通気療法は、鼻から耳管の入り口まで器具を挿入し、直接耳管に空気を送り込む治療法です。狭くなった耳管を広げ、鼓室（鼓膜の奥にある小さな空洞）に直接空気を送り込むことで、鼓膜内に水が溜まらないようにします。症状が改善しない場合は、鼓膜に小さな穴をあけ、チューブを挿入する鼓膜チューブ留置術や鼓膜を切開して貯留液を吸引除去する滲出性中耳炎の治療を行う場合があります。

耳管狭窄症の予防、気を付けていただくこと

耳管狭窄症の予防は、手洗い・うがい・マスクの着用など原因疾患（風邪やアレルギー性鼻炎など）の基本的な予防策を行っていただくことをおすすめしております。また鼻すすりをすることは耳管を通して中耳に細菌を送り込んでしまうことになるため、やめるように気を付けてください。また鼻づまりがある場合は、片方ずつ鼻をかむようにしましょう。
難聴症状や自分の声が響いて聞こえる症状を感じる方は、一度当院に受診してください。