嗄声(声がれ)について

嗄声(させい)とは、声のかすれを医学的用語で表したものです。喉頭にある声帯に何らかの原因で異常が起こり、声帯が正常に振動しなくなることで声のかすれやしゃがれ声、声が出にくい症状を引き起こすことを総じて指します。

声を出す仕組み

左右2本のヒダ状になっている声帯が、そこを通る空気によって振動することによって、声を出しています。喉頭にある様々な筋肉が声帯の左右のヒダを動かしたり、厚みを変えたりすることで声帯をコントロールし、呼吸の気流の強弱も加えて様々な声を出しています。

嗄声の症状と原因

嗄声の症状は、ガラガラ声、かすれ声、か細く弱々しい声などです。大声を出しすぎることや過度な喫煙・飲酒によって起こる咽頭(のど)の炎症が最も多い原因です。また嗄声は、風邪声帯の酷使(カラオケや大声での応援など)することで、のどにできものができる声帯ポリープや声帯結節、声帯を動かしている神経である反回神経の麻痺、咽頭がんなどの疾患が原因となる場合もあります。

声帯ポリープ

声帯に炎症が起こり、その結果声帯の粘膜に血腫ができ、放置することでポリープができます。ポリープがあると声帯が上手く閉じず、空気の振動の邪魔にもなるため、発声がしにくくなる病気です。ポリープは声帯の左右どちらかにできることが多いです。

声帯結節

声帯が振動し、こすれ合うことで、結束という小さな固い突起物が声帯にできる病気です。症状や治療法はポリープとほぼ同じですが、結節は血腫ではなく表皮細胞が肥厚したもの(マメのようなもの)であるという違いがあります。またポリープは声帯どちらか片方に発生することが多いですが、声帯の左右のこすれにより起こるため、どちらの声帯にも発生することが多いです。

嗄声の診断と主な治療

まずのど・声帯に異常がないか、詳しく原因を突き止めるために、咽頭ファイバースコープ(内視鏡)を用い、のどの奥の状態や声帯の動きを画像で確認します。
声帯に結節やポリープなどの腫瘍を発見した場合は、腫瘍の種類によって手術による切除も必要なことがあります。当院では手術が必要な場合は、専門の病院を紹介させていただきます。
どの症状も声帯に負担を掛けないように安静にしておくことが最も大切です。また、のどの水分を一定に保つことも重要です。適度な水分補給やうがい、加湿器の設置を行い、声帯の保護を心掛けましょう。もし、声が出しづらい・ガラガラ声が続いているという症状を感じている方は、一度当院に受診するようにしてください。