ゾレアとは

ゾレアは、スギ花粉症の重症・最重症患者に限定して、2~5月の期間で抗IgE抗体オマリズマブ(商品名:ゾレア)を皮下注射する治療法です。ゾレアを皮下注射することで、従来の内服薬では治まらなかった鼻炎症状や、抗ヒスタミン薬による眠気などの副作用が強いため、お薬の選択肢が限定的になり、症状が改善しないままつらい症状を抱えていた方に、おすすめする治療法です。

抗IgE抗体とは

抗IgE抗体の説明の前に、まず花粉症の発症(アレルギー反応)が起こる仕組みについて説明します。まずスギ花粉が体内に入ってくると、スギ花粉に反応する抗体を体内で作り出します。これが、IgE抗体です。このIgE抗体はマスト細胞という免疫細胞の表面に結合し、スギ花粉が体内に入ってくることを防ぎます。IgE抗体がスギ花粉とくっつくことでそれが引き金となり、マスト細胞が活性化します。活性化したマスト細胞がヒスタミンという化学物質を放出し、そのヒスタミンが様々なアレルギー反応(鼻水、鼻づまり、くしゃみなど)を引き起こします。これが花粉症の発症です。抗IgE抗体は、このIgE抗体がスギ花粉とくっつく前にIgE抗体とくっつくことで、マスト細胞が活性化せず、つまりヒスタミンを分泌することがないため、アレルギー反応を抑制する効果が期待できます。

ゾレアを処方できる方の条件

残念ながらゾレアは、スギ花粉症でなければ治療ができないため、血液検査を行い、スギ花粉のアレルギー反応が陽性であることを確認します。血液検査は2種類で、アレルギーを起こすアレルゲンを識別する「特異的IgE検査(RAST)」と、投与する量を決定する「総IgE検査(RIST)」です。
検査でスギ花粉症患者であることがわかってから、ゾレアを処方する前に一定の基準をクリアする必要があります。

①重症・最重症のスギ花粉症患者であること

重症・最重症の判断は、鼻閉症状とくしゃみまたは鼻水(鼻漏)の程度によって行います。少なくとも「くしゃみまたは鼻をかむ回数が1日に11回以上」もしくは「鼻づまりの程度が強く1日のうちのかなりの時間で口呼吸での生活をしている」という方でなければ、処方することができません。

②既存の治療法で効果を得ることができなかったこと

抗ヒスタミン薬の服用や、ステイロイド系点鼻薬の投与などを1週間行い、くしゃみや鼻水、もしくは鼻づまりの症状が上記の重症・最重症の基準を下回らなかった場合に、「既存の治療では効果が不十分な重症・最重症の花粉症」と判断し、ゾレアによる治療の対象となります。

③その他

①・②に加え、12歳以上であること、血清中総IgE濃度が30〜1,500IU/mL、体重が20〜150kgの範囲にあることが条件です。

ゾレアのメリット

スギ花粉症の治療は、内服薬や点鼻薬での治療が基本となります。その治療法ではなかなか症状が回復しない重症・最重症の方の場合は、ゾレアを処方することで症状を改善する効果が期待できます。また、処方から比較的早く効果を得ることができるため、花粉症が最もつらい時期の2~3月の時期に受験を控えているお子さんなどに特におすすめの治療法です。

ゾレアの副作用

ゾレアの副作用は、注射した箇所の赤みや腫れ、まためまいや眠気、かゆみなどを感じる場合があります。ゾレアの注射はクリニックで行いますので、上記のような副作用が発生した場合には、すぐに対応できますので、ご安心ください。
ゾレアの処方にご興味がある方、金額やスケジュール等を知りたい方は、一度当院にご相談ください。